体調不良のストーリーについて

俺の身体に、左奥歯の痛み、左睾丸の痛み、全身の倦怠感、花粉症、右耳の低音難聴、そして下痢と腹痛が発生した。何かとんでもない病気が隠れている可能性がある、というストーリーが必然的に生まれる。
身体の不調がここ1ヶ月くらいで一気に来たのは、恐らく何か1つの特定の原因のせいなのだ、とまとめて関連付けするのは楽だけど、これは恐らく誤謬に過ぎない。俺がストーリーを欲しがっているだけなんだと思う。
人間は誰しもストーリーが好きらしいので何かを売る際にはストーリーを付随させると効果的だ、と聞いたことがあるし、実際に俺もストーリーがきっと好きなので、今回も何かと関連付けて納得したくなったんだと予想している。
問題をストーリーに仕立て上げてしまう際には危険が伴う。複雑に絡み合っている多くの原因を慎重に少しずつ取り除くよりは、単純な何か1つの原因をズバッと解決する方が当然楽だろうし、色々な問題をスムーズに解決する為にまず分かりやすいストーリーに落とし込むのは非常に良さそうな選択に見える。でも仮にそれが実は「自分を含めた誰かがでっち上げた都合の良い偽のストーリー」なんてことになっていた場合、勿論問題が解決しない可能性がある。これは思考を放棄した甘えた選択肢だと思う。
思考を放棄して甘えた結果生まれたストーリーは、いわゆるエセ科学や陰謀論の餌になってしまう。「放射能だ」「食生活だ」「チャクラが」「◯◯するだけで〜」「水」「アメリカ」「安倍総理」なんでも良い。分かりやすい問題や解決法であるほど考えなければいけない量が減るので、うっかり甘えて選びたくなってしまう。
つまり、ここで俺は辛い身体にムチを打って原因を考えなければならないし、よく分からない何かに頼るわけにはいかないし、それなら昨日コンビニでなんとなく買って飲んだルル滋養内服液は何なんだって話になってくるけれど、もしかしたらというお祈り気分や、数打てば当たると手当たり次第試したのは、辛い身体にムチを打つことなんてやっぱり出来なかったからで、結局頭のどこかで分かっていても行動してしまう/できないなんてことはあるんだと思う。
弁明として、体調不良の原因が栄養失調由来であるという可能性をちゃんと考えていたから、その緊急対策として飲んだんだと言うことも出来るけれど、結局その後に家に帰ってからマルチビタミンを通常服用量より1錠多い3錠を飲んだので、栄養成分だけならルル滋養内服液は全く要らなかったし、ビタミンを多く摂取しても排泄される事も理解していたのに試してしまったし、やっぱり辛い身体にムチを打てなかったので、不健康は良くない。
ちなみに左奥歯の痛みは歯ぎしりのし過ぎか虫歯のせいだろうし、左睾丸の痛みは身体に合っていない椅子に長時間座った結果で、全身の倦怠感は寝不足や筋肉痛やここに書いた他の症状から来ていて、花粉症は勿論そのまま花粉由来だし、右耳の低音難聴は花粉症が原因だと病院で診断され現在では薬を服用して治りつつあるし、そして下痢と腹痛は前日に食べたホルモン屋のどれかが上手く焼けてなかったんだと理解している。体調の回復と共に冷静になれた結果、問題をちゃんと考えられているんだと思う。
ここまで書いた文章を読み直して、俺は結局「斜に構えた言い回しのカッコいいストーリー」を書きたくなっていて、やっぱりストーリー大好きっぽいし、承認欲求が見え隠れしていて気持ち悪い部分もあるし、そもそもこれが日記かどうかも怪しい。

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